抜け毛や薄毛が気になりだしたら、頭皮をちょっと触ってみてください。ベタつきや湿ったフケはありませんか?

「きちんと洗髪をしているのに、頭皮のベタつきやフケの症状があって抜け毛も増えてきた…」。

それは「脂漏性(しろうせい)脱毛症」かもしれません!

脂漏性脱毛症は頭皮の炎症からくる脱毛症で、放っておくと頭皮の炎症がどんどん進行し、重症化や慢性化することも珍しくありません。1度治ってもちょっとしたきっかけで再発することも脂漏性脱毛症の特徴の1つです。

脂漏性脱毛症が重症化や慢性化した場合は専門の医療機関での長期にわたる治療が必要になりますが、初期段階で適切な対策をすれば症状を抑えることも可能です!

ここでは脂漏性脱毛症について原因からセルフケアの方法、医療機関での治療までくわしく書きますのでしっかりごらんいただいて今日から対策を始めましょう。

脂漏性脱毛症とは?

脂漏性(しろうせい)脱毛症とは、「脂漏性皮膚炎」が主な原因となって起こる脱毛症の1つです。以下に挙げる症状(1つでも)が見られるとともに抜け毛が増えてきた!という場合は脂漏性脱毛症を疑いましょう。

  • 頭皮がベタベタして触ると手に脂がつく
  • しっとりした大きなかたまりのフケがでる
  • 頭皮が赤く、かゆみがある
  • 頭皮やフケが脂くさい

脂漏性脱毛症は頭皮のベタつきやフケに悩まされるため、身だしなみに気を使う女性にとってはとてもやっかいな病気です。しかし症状の初期段階で適切な対策をすれば重症化を食い止めることは可能です!

脂漏性脱毛症は「脂漏性皮膚炎」という病気が原因で、頭皮や毛穴に強い炎症が起こり髪の生成や維持機能が著しく損なわれるために起こります。

脂漏性脱毛症では頭皮の炎症部分周囲の髪の毛が抜けていくので、炎症が起きやすい生え際や耳の後ろ、頭頂部などが脱毛症状の好発部位になりますが、炎症の部分によっては頭部全体に脱毛症状が出る可能性があります。

つまり、脂漏性脱毛症を防ぐためには脂漏性皮膚炎を予防・改善することがとっても大切なんです。そのためには脂漏性皮膚炎を起こす原因をしっかり知る必要がありますので次でくわしく見ていきましょう。

脂漏性脱毛症の原因

脂漏性脱毛症の原因は脂漏性皮膚炎ですが、脂漏性皮膚炎の原因は何かというと実は「皮脂」なんです。皮脂とはご存知の通り体の内側から分泌される脂分で、性別年代問わず自然に出る皮膚のバリア機能をもつ物質です。

皮脂は皮膚の中の皮脂腺という器官から分泌されます。皮脂腺は手のひらと足の裏以外、身体中すべての皮膚内にありますが、特に頭皮や顔に多いため頭や顔のTゾーンなどは脂漏部位と呼ばれます。

脂漏部位という言葉だけでもなんだか脂漏性皮膚炎が起こりそうな気がしますが、具体的に脂漏性皮膚炎のメカニズムについて見ていきましょう。

  1. 皮脂の除去不足による毛穴の詰まり
  2. 皮脂の過剰分泌によるマラセチア菌増殖

脂漏部位である頭皮の皮脂分泌は身体の他の部位より多いため、普段の生活の中で不要な皮脂の除去が不十分な場合、皮脂が毛穴に詰まり炎症を引き起こすことがあります。これが1つ目の脂漏性皮膚炎のメカニズムです。

また脂分の多い食事や睡眠不足といった良くない生活習慣や、過剰なシャンプーなどで頭皮が著しく乾燥することによって皮脂の過剰な分泌が起こった場合、皮脂をエサにしている皮膚常在菌の「マラセチア菌」の大量増殖をまねいてしまいます。

マラセチア菌にはリパーゼという酵素を分泌し、皮脂を酸化脂肪酸に分解する働きがあるため、皮脂が増えれば酸化脂肪酸も増えることになり、増えすぎた酸化脂肪酸が皮膚に炎症を引き起こします。これが2つ目の脂漏性皮膚炎のメカニズムです。

ちょっと長くなってしまいましたが、脂漏性脱毛症の症状である頭皮のベタつきや頭皮の赤みの原因がお分かりいただけたでしょうか?重要なのは「皮脂」だったんですね。

脂漏性脱毛症のケア方法

ここからは先ほど挙げた脂漏性皮膚炎の原因それぞれについて皮脂に注目しながら日常的にできるケアについて見ていきましょう。

1 皮脂の除去不足による毛穴の詰まり

もともと皮脂分泌量がさほど多くない女性には見られにくいと言われていますが、シャンプーの間隔が3日以上空いていたり、「水洗髪」というシャンプーなどの洗浄剤を使用せずに髪を洗う方に当てはまることがあります。

毎日1回はシャンプーを

ロングヘアーや体温の高い方、よく汗をかく方の場合は頭皮の毛穴が詰まりやすい傾向がありますので、なるべく毎日1回はシャンプーを行い、適度な洗浄力のシャンプーを使用することをオススメします。

正しいシャンプーの選び方やシャンプーの方法はのちほどくわしく紹介させていただきます。

2 皮脂の過剰分泌によるマラセチア菌増殖

女性の脂漏性脱毛症の場合、皮脂の過剰分泌によるマラセチア菌の異常増殖を抑えることがとっても重要です。

皮脂の過剰分泌を抑えるケアは大きく以下の3つにまとめられます。

  • ホルモンバランスを整える
  • 脂の多い食生活の改善
  • シャンプーの選び方や方法など頭皮ケアを見直す

それぞれについてくわしく見ていきましょう。

ホルモンバランスを整える

皮脂の分泌にはホルモンが大きく関係しており、特にエストロゲン(女性ホルモン)の減少、アンドロゲン(男性ホルモン)の増加が影響すると言われています。

エストロゲンには皮脂抑制作用があり、頭皮はじめ肌の水分を保つのに重要な働きをしています。エストロゲン減少の原因となる生活習慣には、過激なダイエットや寝不足、ストレスなどが挙げられます。

これらの原因をできるだけなくして健康的な生活を送りましょう。

アンドロゲンは男性ホルモンですが女性の体内にも存在しています。普段は女性ホルモンが優位の状態ですが、上記の原因によりエストロゲンが減少すると相対的にアンドロゲンが増えてしまいます。

こうしてホルモンバランスが乱れると、アンドロゲンの働きにより頭皮が硬化し皮脂の分泌が多くなってしまいます。

睡眠時間は8時間が理想

睡眠時間は8時間が理想ですが少なくとも6時間は確保しましょう、睡眠の質を上げるためには就寝2時間前にはPCやスマホのブルーライトを浴びないようにすることも大切です。

ストレス解消には楽しんで行える運動がオススメです。ストレッチやヨガなど場所や時間を問わず行えるものや、ウォーキングなど自分のペースでできる有酸素運動が無理なく続けられるためオススメです。

食生活の改善

脂の摂取が多いと体内に吸収された脂が皮脂として分泌されますので、日々の食事の中で脂身の多い肉や揚げ物や乳脂肪を好んで食べる方は注意が必要です。

成人女性の理想的な脂質摂取量は総エネルギー(約1900kcal)の約25%と言われており、脂質を9kcal/gでエネルギー産生計算すると成人女性が1日に必要な脂質は約53gということになります。※1

具体的には豚ロースのとんかつ1枚とアボカド1/2個で脂質約55gですから、この組み合わせですでに1日の脂質の目安の53gをオーバーしてしまいます。※2

できれば脂分の多い食事は控えてあっさりした和定食中心の食事をオススメしますが、なかなか難しいという方は脂肪をエネルギーに換える働きのあるビタミンやミネラル、脂肪を体外へ排出しやすくする働きのある食物繊維を脂質と一緒に積極的に摂ることをオススメします。

ビタミンの中でも脂質代謝の働きをするビタミンB2はぜひ積極的に摂りましょう。具体的にはレバー、卵、緑黄色野菜、納豆などがオススメです。

脂質代謝に関係するマンガンというミネラルは全粒穀類、ナッツに多く含まれていますし、食物繊維はワカメや昆布などの海藻類やキノコ類に多く含まれていますのでこちらもあわせて積極的に摂るといいですね。

※1 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 参照

※2 杏林大学医学部付属病院栄養部 三大栄養素~脂質について~ 参照

シャンプーの選び方や方法など頭皮ケアを見直す

女性の脂漏性皮膚炎によくみられるのが頭皮の乾燥による過剰な皮脂分泌です。「乾燥してるのにベタつくの?」と思われるかもしれませんが、乾燥による皮脂分泌量の増加は皮膚が自己防衛機能としてもっている大切な仕組みなんです。

頭皮には肌内部の水分蒸発をおさえ外部の刺激から身を守るバリア機能があります。

しかし誤ったシャンプー方法や、洗浄力の強すぎるシャンプーを使うことで頭皮から水分が大量に奪われ過乾燥になると、それを補うために皮脂分泌過剰な状態をまねきます。

頭皮の過乾燥を防ぐシャンプーの選び方

シャンプーは成分を見て選ぼう

市販の安価なシャンプーに含まれていることの多い「ラウレス硫酸」「ラウリル硫酸」という成分は非常に洗浄力の強い高級アルコール系界面活性剤で、頭皮の皮脂を必要以上に除去してしまいます。

また、硫酸は皮膚や髪のタンパク質を変性させるほどの刺激の強い成分ですので避けるにこしたことはないでしょう。

頭皮の過乾燥対策には洗浄力が優しく必要な皮脂を落としすぎないアミノ酸系シャンプーがオススメです。成分表示には「ココイル○○」「ラウロイル○○」などと記載がありますので参考にしてください。

オイル系シャンプーも頭皮の過乾燥にオススメ。しっかり頭皮を洗浄できますし、髪に潤いを与えてくれます。成分表示にはホホバオイル、アルガンオイルなどと記載があります。

頭皮の乾燥対策にオススメのシャンプー方法

頭皮の乾燥対策にオススメのシャンプー方法をご紹介します。ご自身のシャンプー方法と比較してみてくださいね。

①シャンプー前にブラッシング

シャンプー前にブラッシング

目の粗いクシで髪の絡まりをとき、ホコリや汚れを取りやすくします。

②お湯でまず汚れを落とす
熱すぎない(40℃以下)お湯で頭皮と髪をしっかり洗います。この段階でしっかり洗うと汚れの70%は落とせると言われていますので念入りにやりましょう。

③シャンプーは手で泡立ててから頭につける
シャンプー液を直接頭につけてから泡立てるのは頭皮への刺激が強すぎてNGです!ボディソープや洗顔料を泡立ててから肌に乗せるのと同じように、シャンプーも髪の部分で泡立ててから頭皮を洗うようにしてください。

⑥頭皮をマッサージするよう指の腹で優しく洗う
しっかり泡だったら、ここで初めて頭皮を洗ってください。爪を立ててガシガシこすらずに指の腹を使って優しくマッサージするように洗ってください。

⑦時間をかけしっかりすすぐ
シャンプーのすすぎ残しは頭皮の血行を悪くしたり雑菌を増やしたりと頭皮環境の悪化をまねく恐れがあります。髪の毛だけでなく頭皮もしっかりすすいでくださいね。

⑧トリートメントは頭皮につけない
トリートメントは肌に吸着しやすく毛穴をふさぐ原因になりやすいため、傷みやすい髪の先を中心に根元にはつけないように使うといいでしょう。

⑨ヌルつきがとれるまですすいで終了
すすぐ際もなるべく頭皮にトリートメントがつかないよう意識して、ヌルつきがとれる程度まですすいでください。

脂漏性脱毛症はしっかりケアをして治っても再発しやすいことが特徴です。再発を防ぐためには日常的にできるケアを継続することが大切ですのでぜひしっかり続けてくださいね。

脂漏性脱毛症のクリニックでの治療とは?

脂漏性脱毛症の原因は脂漏性皮膚炎のため、医療機関では脂漏性皮膚炎の治療が中心になります。脂漏性皮膚炎は皮膚科が専門ですので受診を検討される方は皮膚科へ行きましょう。

外用薬の処方

脂漏性皮膚炎の炎症を抑えるための副腎皮質ステロイドホルモン剤と、マラセチア菌増殖を抑えるための抗真菌剤の2種類の外用薬が処方されます。使い方はステロイドで炎症を抑えてから抗真菌剤でマラセチア菌を抑えるのが一般的です。

内服薬の処方

内服薬の処方

皮脂の分泌を抑えるためのビタミンB2、B6や漢方の内服が処方される場合があります。どちらも外用薬治療のサポートとして使われることが多いですが、副作用がほとんどないため安心して服用できるのがメリットです。

脂漏性脱毛症は原因である脂漏性皮膚炎が治れば自然と改善することがほとんどです。しかし重症例などでは炎症が毛根を著しく損傷させ髪の再生が難しい場合もあります。

皮膚科選びの際は、脂漏性皮膚炎の治療に加え脱毛症に関してもしっかり相談できることが重要です。受診の前にクリニックのHPを見たり、電話で問い合わせてみることをオススメします。

まとめ

脂漏性脱毛症は1度なってしまうと治りにくく再発しやすいやっかいな病気ですが、自分でできる日常的な対策がいろいろあるのでご自身の原因をしっかり探してケアしていきましょう。