わたしたちの一生を通して髪の毛が生え変わりを繰り返していることは皆さんご存知だと思いますが、どんなサイクルで何年かけて生え変わっているのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか?

実はこの生え変わりのサイクルが女性の薄毛や抜け毛にも深く関わっているんです。そこで今回はそんな髪の生え変わり、「ヘアサイクル」の基礎知識を詳しく解説していきます。

今現在薄毛や抜け毛に悩んでいる方も、将来に備えて予防をしたいという方にも身になる知識ですのでじっくりご覧くださいね。

毛の生え変わりを詳しく解説!ヘアサイクル(毛周期)とは?

ヘアサイクルとは毛周期とも言い、過程ごとに「成長期」「退行期」「休止期」と3段階に区分することができます。

1.成長期
平均期間は5〜7年。髪の毛全体の約85%が成長期の段階にあたる。
毛包の中で毛母細胞の細胞分裂が活発に行われ、毛が発生し上に向かって発育する時期。

2.退行期
平均期間は2〜3週間。髪の毛全体の約1〜2%が退行期の段階にあたる。
成長期が終わり、毛包の収縮がはじまり毛母細胞の細胞分裂が停止する時期。

3.休止期
平均期間は2〜3ヶ月。髪の毛全体の約15%が休止期の段階にあたる。
細胞分裂を終えると毛包は上へ押し上げられ、毛根は棍毛(こんもう)と呼ばれるこん棒状になり脱落を待つ時期。

毛周期

休止期を経てふたたび成長期に入ると、押し上げられていた毛包は下におりてきて新たに毛母細胞が分裂を開始します。

そして新しい毛が生まれその毛の成長に従って、押し出されるようにして棍毛は抜け落ちる、という仕組みになっています。

成長期の髪の毛は1日につき0.3mm〜0.5mm伸びると言われており、計算すると女性の成長期に伸びる髪の長さは約50〜100cmほどとなります。つまり髪の伸びる長さには限界があるということが言えます。

一般的に街中で1m以上になるような長い髪の人を見かけないのは、伸ばす人がいないというよりも限界により伸ばせないから、というわけなんです。

また髪の本数の平均は約10万本程度で多い人で13~14万本、少ない人で6~7万本と言われています。

1日に抜ける髪の毛は平均50〜100本程度なので、自然な抜け毛で薄毛になることはまずないと言えます。

それに髪の毛は1本1本毛周期が異なるため、一気に抜け落ちることはふつうはありえません。ですから常に一定の本数を保っていられるんですよ。

髪の毛が生える仕組み

髪の毛に生え変わりのサイクルがあることがわかったところで、次に髪が生える仕組みを見ていきましょう。

皆さんの中には抜けた毛を見て、根元の少し丸くなっている部分のことを「毛根」だと思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。

「毛根」とは皮膚の内側に埋没している毛全体のことを指し皮膚から外に出た目に見える部分を「毛幹」と呼びます。樹木の地中部分が「根」で地上部分が「幹」という区分と全く一緒と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

毛根

成長期の毛根の最下部は丸く膨らんでいる「毛球」で、毛球の中には「毛乳頭」があります。毛乳頭が毛細血管から酸素や栄養をもらうことにより、毛乳頭を囲む「毛母細胞」から毛が発生し上方に成長していきます。

さきほどのヘアサイクルで説明した通り、成長期の毛包は植物の根が下に伸びるのと同様に真皮下方に向かっていきます。この時重要なのが「毛隆起」または「バルジ領域」と呼ばれる場所です。

バルジ領域は毛根の中央付近の少し膨らんだ部分のことで、中には「毛包幹細胞」と「色素幹細胞」という2つの幹細胞が存在します。

幹細胞とは「分裂して自分と同じ細胞を作る能力(自己複製能)と、別の種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる細胞と定義されている」※1細胞のことで、毛包幹細胞については細胞分裂によって毛球部が作られるという説があります。

これをバルジ活性化説と言い1990年に提唱されましたが、現在まだ研究中で毛包幹細胞がバルジ領域に存在し毛の発生と成長をつかさどるという実証はされていません。

しかし毛の発生と成長には毛乳頭も毛包幹細胞も不可欠であるということは確実で今後の研究でさらにいろいろな仕組みが判明することが予想されます。※2

※1 Wikipedia 幹細胞 より引用
※2 毛成長誘導の主役は毛乳頭細胞?毛包幹細胞?」参照

髪の毛が抜ける仕組み

髪が抜けるのには大きく分けて以下の2つの要因があります。

抜け毛

1.外力による抜け毛

髪をとかす際ブラシに絡まったり、服などに引っかかることで成長期の健康な毛が抜けてしまう場合(自分で髪を抜く「抜毛症」もふくみます)がまずあげられます。
本来抜ける状態ではなく皮膚と毛が固着されているため抜ける際に痛みを伴うことが多いです。

外力による抜け毛の特徴として、根元の膨らんだ部分に半透明〜白色の付着物を見つける場合があります。この白っぽいものが毛の元で抜けるともう髪が生えない、という噂があるようですがこれはただの噂で決してそんなことはありません。

毛の根元に付着した白いものは毛を囲む組織の一部で「毛根鞘(もうこんしょう)」と言います。毛根鞘は毛と皮膚を固定させる役目をしているので、これが毛と一緒に抜けても発毛に影響はありません。

ただし成長期の健康な髪の毛を無理やり引く抜くと頭皮に傷がつき、炎症などのトラブルを招く恐れがありますので気をつけましょう。

2.休止期の自然な抜け毛

ヘアサイクルの説明でもふれた通りで、毛包が休止期に入ると毛母細胞の細胞分裂は完全停止し、毛包は毛根の途中にある毛隆起の位置まで押し上げられます(これを退縮と言います)。

その後再び成長期に入ると毛包表皮は分裂を開始して下行し毛乳頭を形成して新しい毛が生じるため、押されるようにして古い毛は抜け落ちます。

このときの髪は毛根鞘の働きも停止しており、新しい毛に押されるまでもなく自然に抜け落ちることも多いため、痛みを伴うことはなく髪が抜けたことに気づかない場合がほとんどです。

ヘアサイクルの異常がもたらす影響は?

髪が生え変わるメカニズムがわかったところで、ヘアサイクルに異常が起きた場合、髪にどんな影響が出るのかも見ていきましょう。

女性が特に気になる薄毛や抜け毛トラブルを中心にまとめてみました。

・休止期の異常でおこるもの

女性男性型脱毛症(FAGA)、休止期脱毛症、分娩後脱毛症、ピル服用後の脱毛、鉄欠乏性貧血や甲状腺疾患などの病気による脱毛、高脂血症やパーキンソン病治療薬の副作用による脱毛、原因不明で慢性の休止期異常による脱毛

女性の薄毛、抜け毛トラブルの代表といっても過言ではない「びまん性脱毛症」と「分娩後脱毛症」はヘアサイクルの休止期の異常によるものです。これらには女性ホルモンが深くかかわっています。

・成長期の異常でおこるもの

円形脱毛症、抗がん剤や放射線治療による脱毛

抗がん剤や放射線治療などは毛包細胞の細胞分裂を抑制し、成長期から退行期を経ずに一気に脱毛を引き起こすため成長期の異常とされています。円形脱毛症も症状は同じで成長期の異常に入ります。

ヘアサイクルの異常を発見するポイント

ヘアサイクルの異常は脱毛症につながる可能性があるため、異常を早期発見することがとても重要です。がん治療や薬の副作用によるものに関しては重要度が高い治療を優先することが大切ですので、それ以外の場合について見ていきましょう。

  1. 髪質に変化がみられる
  2. 抜け毛が急に増える
  3. 抜け毛に「短い、細い、根元がこん棒状ではない」という特徴がある

1.髪質に変化がみられる

ヘアケア方法やシャンプーなどを変えていないのに、髪にうねりやひどいパサつきがでたり、ハリやコシがなくなってきたなど髪質の変化が急に感じられた場合、頭皮環境の悪化により髪の成長が阻害されヘアサイクルが乱れている可能性があります。

また髪質の変化は、髪の健康に関わるエストロゲンという女性ホルモンの減少によっても引き起こされる場合があります。

どちらの場合も髪の成長が阻害されるために休止期が長くなる傾向があると言えます。

2.抜け毛が急に増える

自然な抜け毛は1日に50~100本と言われていますが、個人差や季節による増減もあるため多少平均値よりも抜け毛が多くてもあまり心配はないと思われます。

しかし急に抜け毛が増えた場合は成長期の異常が疑われます。特に髪を手ですいただけで抜け毛が絡みつくような場合は、突然発症する円形脱毛症などの可能性もありますので注意が必要です。

3.抜け毛に「短い、細い、根元がこん棒状ではない」という特徴がある

抜け毛をまじまじと観察する機会はあまりないと思いますが、多少抜け毛が増えたりいつもの髪型が決まらなくなってきたという場合はぜひチェックしてください。

成長期をまっとうした髪は太く長く伸びて根元がこん棒状になっているはず。

もし抜け毛の根元が細かったり短い場合は、成長期が短くなっている可能性があります。すると休止期が長くなり休止期異常による脱毛症の危険が出てくるのです。

女性のヘアサイクルの異常の原因はさまざまですが、まずは自分のヘアサイクルに異常がないかしっかり見極められるように注意しましょう。

「ヘアサイクルが乱れているかも」と気づいた場合は、日常生活におけるセルフケア方法を女性のための抜け毛講座!原因と症状から効果的なケアまで教えます!にくわしく書いていますのでぜひご覧くださいね。

育毛に必要な期間とは?

通常のヘアサイクルの中で休止期から成長期に入り、発毛して髪が成長してきたことを確認するには3ヶ月程度かかります。

髪は平均して1日に0.3mm~0.5mmほど伸びます。そのため毛乳頭付近から頭皮表面にある毛穴までが約2~2.5mmほどあるので、新しく生まれた髪が表皮まで到達するのに約1週間~10日かかる計算です。

そのため髪が伸び続けて新しい毛が目で確認できるようになるまでには約3ヶ月ほどはかかることになりますね。

女性の髪の成長期は通常5~7年、休止期は2~3ヶ月ですが、ヘアサイクルに異常が生じると成長期が短くなり、休止期が年単位まで長くなると言われています。

育毛のためにはヘアサイクルの異常を正常な状態に戻していく必要があります。

そのためには自己ケア、医療期間での治療などの方法にかかわらず、正常なヘアサイクルの休止期にあたる3ヶ月は続けて様子を見る必要があります。

つまりヘアサイクルに異常がある場合の育毛には、正常な休止期の3ヶ月プラス発毛確認のためにもう3ヶ月の最低6ヶ月間は必要になるということになります。

もちろん個人差がありますし、薄毛や抜け毛の範囲や重症度によっても変わってきますので、この「最低6ヶ月」というのはヘアサイクル異常に対しての薄毛、抜け毛ケアが順調にできて改善した場合の期間になります。

この期間を長いと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、薄毛や抜け毛に対して何もしないでいるとその分育毛に必要な期間はどんどん伸びてしまいます。

気づいたときにすぐ対策を取り、すこしでも薄毛や抜け毛の進行を抑えましょう。

まとめ

ヘアサイクルはあまりくわしく知られていませんが健康な髪の維持にとても大切です。もっと言うと、ヘアサイクルを正常に保っていられれば薄毛や抜け毛は怖くないと言っても過言ではありません。正しいヘアサイクルの知識を元に薄毛や抜け毛対策をしていきましょう。