ホルモンバランス

ピルの服用を中止すると抜け毛・薄毛が増える原因|ピルと髪の関係

ピルの服用を中止すると抜け毛・薄毛が増える原因

月経困難症や子宮内膜症の治療薬として健康保険適応となり、避妊目的以外でも一般的に普及してきた低用量ピル(OC)。

服用に関しては医師の処方が必要で、定期検診や服薬指導はしっかりされているのに「服用を中止したら髪が抜けるようになった!こんな副作用聞いてない!」とショックを受ける方が増えているんです。

よくある疑問
よくある疑問
「ピルを服用すると必ず抜け毛が起こる?」
「ピル中止後の脱毛っていつまで続くの?」
「ピルで薄毛の治療ができるって聞いたんだけど本当?」

といった疑問もよく聞きます。
現在ピルを服用している方やピルの開始を検討している方に向けて、気になる疑問や噂をここでしっかり解説いたします!

ピルの服用を中止すると抜け毛が増える?

結論から言うと、ピルを長期的に服用していて急に中止した場合、抜け毛が増える可能性は高いと言えます。

これはピル服用中に体の中のホルモンバランスが変化することが中止後の抜け毛に関係しているからなんです。

ピルが女性ホルモンを配合した薬ということはご存知でしょうが、ピルと体内のホルモンバランスへの影響をちょっと専門的な部分も含め見ていきましょう。

ピルの成分と服用中のホルモンバランスの仕組み

ピルに含まれる女性ホルモンはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類です。

この2種類のホルモンがバランスよく配合されているため、ピルの服用中は妊娠中と同じホルモンバランスを保つことができます。
すると「妊娠している」と錯覚した脳が自身のエストロゲンの分泌を抑制し、卵巣機能を休止させ排卵をストップします。

一般的なピルのホルモン量

21日間ホルモンの配合されたピルを服用し、そのあと7日間休薬してまた再開するというパターンのため、「エストロゲンが不足してきたからまた分泌しよう!」と司令が出る前にピルによりエストロゲンが供給されるという流れになります。※1

ピル服用中は抜け毛が減る?

エストロゲンの髪への作用には以下が挙げられます

  • 髪の成長を促進する
  • 髪の成長期間を維持し抜けにくくする

ということは、ピル服用中のエストロゲンが一定量保たれている状態では髪はよく成長し、抜けにくいということになります。

「ピルをのむと抜け毛が減る」というのはこの作用からだと言えるでしょう。

ピル中止と抜け毛のメカニズム

ピル服用中の女性のホルモンバランスが妊娠中と同じ、ということがご理解いただけたと思います。

ところで「分娩後脱毛症」という言葉を聞いたことはありますか?
産後の急激なホルモンバランスの変化にともない、一時的に大量に抜け毛が起こる症状で産後の女性の約7割に発症の可能性があると言われています。

分娩語脱毛症とは?

くわしくは「産後の薄毛と抜け毛の原因と症状のメカニズム」をごらんください。

つまりピルの中止によって体内に常時存在していたエストロゲンがなくなり、本来の自然なエストロゲン分泌の増減周期に戻ります。
するとエストロゲンが減少する時期に大量に抜け毛が起こるというわけです。

どのくらいの期間ピルをのむと抜け毛が起こる?

「ピルを始めよう!」と思った時に、どのくらいの期間服用を続けるか考える必要があります。

避妊が目的であれば妊娠を希望するまで、もしくは妊娠の可能性がなくなるまででしょうし、婦人科系疾患の治療であれば十分な治療効果が得られるまで、ということになりますよね。

いずれにしてもピルの服用は短期的なものでなく長期にわたることが多いもの。
どのくらいの期間服用すると抜け毛が起こるのかを断言することは残念ながらできません。

しかし分娩後脱毛症を考えると、妊娠期間が約1年あることから1年以上のピルの服用には抜け毛の可能性がある、と言えるのではないでしょうか?

ピル検討中の方はぜひ頭の片隅に入れておいてくださいね。

ピル中止後の抜け毛はいつまで続く?

ピル中止後の抜け毛はもともと抜けるはずの毛がまとまって抜けるため、今成長中の元気な毛が抜けているわけではないことがわかって少し安心されましたか?

しかし、そうはいっても実際に排水溝や枕に散らばる多量の抜け毛を目にすると「このまま抜け続けるんじゃないか?」と不安になりますよね?

でもご安心ください、ピル中止後の抜け毛は自然の経過で回復することがほとんどです。

ピル中止後の抜け毛回復の目安は約3〜4ヶ月

ピルを中止すると成分はすべて排泄されるため体内にエストロゲンが不足します。
すると脳の視床下部から司令が出てエストロゲンの分泌が促進されます。

そのためもともと月経周期が安定している女性の場合、95パーセント以上の女性はピル服用中止3ヶ月後には正常に生理が再開し、妊娠が可能だと言われています。※2

生理の再開がエストロゲンの分泌の正常化と考えると、ピル中止後の抜け毛の回復が見込めるのもだいたい3〜4ヶ月後頃だと言えますね。

ただし、髪の成長には必要な時間があり、髪が生えてきたり抜け毛が減ったと実感できるのにはもう少し時間がかかることが多いでしょう。

薄毛・抜け毛治療にピルは使える?

「ピルが薄毛治療に使える」「ピルを飲み始めたら毛が生えた」という噂を聞いたことはありませんか?

ピルを中止すると抜け毛が起こるという事実とは反している噂ですが、真偽を確かめていきましょう。

婦人科疾患が原因の薄毛や抜け毛にはピルが有効な場合も

基本的に女性ホルモンの減少やバランスの乱れが原因でない薄毛や抜け毛の場合、残念ながらピルによる治療や増毛は期待できないでしょう。

ただし、女性ホルモンの分泌に関わる疾患が原因の薄毛や抜け毛の場合はピル服用によって十分な量のエストロゲンが体内に入り、ホルモンバランスが整えられることで薄毛や抜け毛が改善することが期待できます。

薄毛・抜け毛の原因となる婦人科疾患
  • 卵巣嚢腫
  • 多発性卵巣嚢胞
  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜症 など

とはいえ疾患がある場合はそちらの治療が優先されます。
治療の選択肢の中にピルがあれば検討してみる、といった程度に思っておいたほうがいいでしょう。

まとめ

記事のまとめ
いかがでしたか?「ピルを服用すると抜け毛が減る」のは事実ですが、「ピルを中止すると抜け毛が増える」のも事実です。

ただしこれらはピルの服用にともなう一時的な症状だと言えます。
そのため薄毛や抜け毛に悩む方の治療法にはおすすめできませんし、「抜け毛が心配だからピルを服用する理由はないのに続ける」こともおすすめできません。

ピルと髪の毛の正しい関係をご理解いただいた上で、ピルとの付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか?